『二十一世紀に生きる君たちへ』 司馬遼太郎先生が、未来の子ども達に向けて書いた作品。
その中に書かれてある言葉です。私は、人という文字をみるとき、しばしば感動する。 斜めの画が互いに支え合って、構成されているのである。 そのことでもわかるように、人間は社会を作って生きている。 社会とは、支え合う仕組みということである。 原始時代の社会は、小さかった。家族を中心とした社会だった。 それが次第に大きくなり、今は国家と世界という社会を作り、 互いに助け合いながら生きているのである。 自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようには作られていない。 このため「助け合う」ということが、人間にとって大きな道徳になっている。 助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。 他人の痛みを感じることと言ってもいい。優しさと言い変えてもいい。
この文章の結びに、
『君たちさえ、そういう自己をつくっていけば、 二十一世紀は人類が仲良しで暮らせる時代になるにちがいない』と。
最近、世界のニュースを見るたび、司馬先生のこの言葉を突き付けられている気がします。 田中光敏拝